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新型コロナ関連 国等から助成金が支給された場合の所得税の扱い(抜粋)

問 1《個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い》〔 6 月 12 日 更新 〕
新型コロナウイルス感染症 等 の影響に伴い、国 や 地方公共団体から 個人に対して 助成金が 支給 されることがありますが、こうした助成金は所得税の課税 対象となりますか 。
〇国や地方公共団体からの 助成金については、 個別の助成金の事実関係によって、次のとおり課税関係が異なります。具体例については、次ページの (参考 )をご覧ください。
【非課税となるもの】
〇次のような助成金(助成金には、商品券などの金銭以外の経済的利益を含みます。以下同じです。)は、非課税となります。
①助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
②その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの
・学資として支給される金品(所得税法9条1項 15 号)
・心身 又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の 見舞金 (所得税法9条1項 17 号)
【課税となるもの】
〇上記の非課税所得とならない助成金については、次のいずれかの所得として所得税の課税対象になります。
①事業所得等に区分されるもの
事業に関連 して支給される助成金(例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補 てん を目的として支給するものなど)
※補償金の支給額を含めた 1 年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合 など には、税負担は生じません 。 また、 支払賃金などの必 要経費を補てんするものは、支出そのものが必要経費になります。
②一時所得に区分されるもの
例えば、
事業に関連しない助成金で 臨時的に一定の所得水準以下の方に対して一時に支給される助成金
※一時所得については、所得金額の計算上、 50 万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得 と される金額との合計額が 50 万円を超えない限り、課税対象になりません。
③雑所得に区分されるもの
上記①・②に該当しない助成金
(参考)1 新型 コロナウイルス感染症等の影響に関連して 国等から支給される 主な 助成金等の課税関係
(例示)
非課税
【非 課 税と なる法律が 非課税の 根拠となるもの】
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
・新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
【新型コロナ税特法 が 非課税の 根拠となるもの】
・特別定額給付金 新型コロナ税特法4条 1 号
・子育て世帯への臨時特別給付金 新型コロナ税特法4条 2 号
【所得税法が非課税の 根拠となるもの】
〇学資として支給される金品 (所得税法9条1項 15 号)
・学生支援緊急給付金
〇心身 又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の 見舞金(所得税法9 条 1 項 17 号)
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
課 税
【事業所得等に区分 されるもの】
・持続化給付金 (事業所得者向け)
・家賃支援給付金
・農林漁業者への経営継続補助金
・文化芸術・スポーツ活動の継続支援
・東京都の感染拡大防止協力金
・雇用調整助成金
・小学校休業等対応助成金
・小学校休業等対応支援金
【一時所得に区分 されるもの】
・持続化給付金 (給与所得者向け)
【雑所得に区分 されるもの】
・持続化給付金 (雑所得者向け)
問2 .《 学生に対して 大学等 から助成金が支給された場合の取扱い 》 〔5月 15 日追加〕
私は、都内の大学に通う学生ですが、新型コロナウイルス感染 症 の影響による学生支援策として、 大学から 次の助成金 等 を受領しました。
これらの助成金 等は 、 所得税の課税 対象となります か 。
① 学費を賄うために支給された支援金
② 生活費を賄うために支給された支援金
③ 感染症に感染した学生に対する見舞金 (5万円
④ 遠隔授業を受けるために 供与された 機械(パソコン等)
〇ご質問については、それぞれ次のとおりとなります。
① 学費を賄うために支給された支援金
非課税所得となる 「 学資金 」(所得税法9条1項 15 号) に該当しますので、所得税の課税 対象 に なり ません。 ただし、 その支援金の 使途が 特に 限定されていない と認められる 場合には、 下記 ②と同様の取扱いになります。
② 生活費を賄うために支給された支援金
一時所得として収入金額に計上していただく必要があります。
ただし、その年の他の一時所得とされる金額との合計額が50 万円を超えない限り、所得税の 課税対象にはなりません。
③感染症に感染した学生に対する見舞金
非課税所得となる 「 心身 又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の 見舞金 」(所得税法9条1項 17 号) に該当しますので、所得税 の課税 対象 に なり ません 。
④遠隔授業を受けるために 供与された 機械(パソコン等)
非課税所得となる「 学資金 」(所得税法9条1項 15 号) に該当しますので、所得税の課税 対象 に なり ません。
問 3 《 従業員に対して事業者から見舞金 が 支給 された 場合の取扱い 》〔5月 15 日追加〕
私は、介護老人福祉施設を有する法人の代表者です。当社は緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業に該当することもあり、これまで休業することなく事業を継続してきました。社会的な使命に応えるためとはいえ、緊急事態宣言中に事業を継続する中で、従業員には新型コロナウイルス感染症の感染リスクといった平常時には感じ得ない相当な不安を抱えながらも懸命に事業に従事していただきました。そこで、当社では、社内規程である慶弔基準を改定し、「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において介護サービスを実施する従業員については、5万円の見舞金を支給する。」こととし、近日、この基準に従って支給することとしました。この見舞金は、非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収することは不要ですか。
〇御質問の見舞金は、非課税所得 に該当しますので、給与等として源泉徴収する必要はありません。
〇新型コロナウイルス感染症に関連して従業員 等 が事業者から支給を受ける見舞金が、次の3つの条件を満たす場合には、所得税法上、非課税所得に該当します (所得税法9条1項 17 号) 。
①その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること【条件①】
②その見舞金の支給額が社会通念上相当であること 【条件②】
③その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと 【条件③】

※緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給の決定がされたものについては 、そもそも「 見舞金 」 とはいえない 場合 が あり ますので 、ご 留意 ください。
【条件①について】
〇心身に加えられた損害につき支払を受けるものの具体例は 、 次のとおりです。
➣従業員等やその親族が新型コロナウイルス感染症に感染したため支払を受けるもの
➣緊急事態宣言の下において、事業の継続を求められる事業者 (注1)の従業員 等 で次のいずれにも該当する者が支払を受けるもの (注2)
・多数の者との接触を余儀なくされる業務など新型コロナウイルス感染症の感染リスクの高い業務に従事している者
・緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められる者
(注1) 事業の継続が求められる事業者 に該当するかどうかの判定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年3月 28 日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を参考にしてください。
(注2) 緊急事態宣言がされた時から解除されるまでの間に業務に従事せざるを得なかったことに基因して支払を受けるものに限ります。
【条件②について】
〇見舞金の支給額が社会通念上相当であるかどうかは、次の点を踏まえ判断することになります。
➣その見舞金の支給額が、従業員 等 ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実に応じた金額となっており、そのことが事業者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか 。
➣その見舞金の支給額が、慶弔規程等や過去の取扱いに照らして相当と認められるものであるかどうか 。
【条件③ について】
〇例えば 、 次のような見舞金は役務の対価たる性質を有していないものには該当しないことになります。
➣ 本来受けるべき給与等の額を減額した上で、それに相当する額を支給するもの
➣ 感染の可能性の程度等にかかわらず従業員 等 に一律に支給するもの
➣感染の可能性の程度等が同じと認められる従業員 等 のうち特定の者にのみ支給するもの
➣支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの
〇ご質問の見舞金について、上記条件 ①から③まで を満たす もの と考えられますので、
非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収する必要はありません。
〔 参考 〕
➣新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金の所得税の取扱い
について (法令解釈通達)(令和2年5月 15 日)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/2005xx/pdf/01.pdf

問 4《 売上げの一部を 寄附した場合の必要経費の取扱い 》 〔5月 15 日追加〕
私は、個人で食料品の小売販売をしており、今般、売上げの一部を医療機関に寄附する取組を 始めることに しました。この取組については、
① 指定商品の売上金額の一定割合を寄附金額とすること 、
②寄附先、
③寄附日などを あらかじめ 設定し、 指定商品を購入する お客様にご理解いただけるよう 店内ポスターや ホームページ などで広く一般に周知するとともに、寄附をした後には、その旨も同様に周知することとしています。この度、予定どおり医療機関に寄附をしましたが、この支出は、事業所得の 金額の計算上、必要経費に算入することはできますか。
〇ご質問については、医療機関に寄附した金額が、事前に広く一般に周知していた取組によるものであることが明らかである場合に限り、事業所得の 金額の 計算上、必要経費に算入 することができます 。
〇所得税法上、必要経費とされるのは、収入金額を得るため直接要した費用と販売費・一般管理費等 の 所得を生ずべき業務について生じた費用とされています (所得税法 37 条1 項) 。
〇ご質問によれば、商品の販売時において、 所定の日に 売上金額 の一定割合の金額を 指定された医療機関に寄附 する ことを店内ポスターなどで広く一般に周知していたとのことですので、 あなたが始めた取組は、 新型コロナウイルス禍の下で社会的に必要とされる医療機関を支 援する目的のほかに、集客を目的とした一種の広告宣伝としての効果を有して いるものと 認められます。
また、顧客が指定商品を購入する際には、あなたと顧客との間で、この取組 (取引条件)に合意していたものと考えられますので、あなたには、売上の一部から所定の金額を医療機関に寄附する義務が生じていることになります。
〇したがって、医療機関に寄附をしたことによる 支出は事業の遂行上必要なものとして生じた もの と考えられますので、 その支出は、 事業所得の 金額の 計算上、必要経費に算入 することができます。
〇なお、あらかじめ周知する内容が不明確である 場合など、 次のような場合には、事業所得の 金額の 計算上、必要経費に算入することはできませんので、ご留意ください。
・周知する内容を ”売上げの一部を寄附します”としか示していない 場合(寄附金 額が不明確)
・周知する内容を ”医療機関に寄附します ”としか示していない 場合 (寄附先が不明確)
・周知内容と異なる内容の寄附を行っている 場合 (事業の遂行上必要か どうか 不明確)
※個人事業主が支出した寄附金で、必要経費に算入されないものについては、事業主個人の家事上の経費になります。家事上の経費に該当する寄附の寄附先が国や地方公共団体等の寄附金 (税額 控除の対象である場合には、控除の適用を受けることができます。


by horiguti10 | 2020-06-23 11:43 | 新コロナ関連情報

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