1,消費税の課税事業者はどうなる
①仕入れ先、材料費、外注費、販売費、一般管理費の取引業者からいただく請求書等が
「適格請求書等」であるかどうかの確認が必要になる
②インボイスの発行ができない免税事業者との取引では、消費税の税額計算の際、「仕
入れ税額控除」ができなくなり、結果として消費税の納税額が増加する
③免税事業者を多く抱える親会社は、やむなく、下請けの免税事業者に「課税事業者」
(適格請求書発行事業者)になってもらうか、増加する納税額分だけ値引き(買いた
たき)をしてもらわないと経営が悪化する
2,消費税の免税事業者はどうなる
①親会社から、消費税の課税事業者にならないと取引をやめると圧力をかけられるか、
消費税分の値引きをおこなうか、廃業するかの選択をせまられ経営が悪化する
(例)年間課税売上高が550万円の事業者で、課税仕入れが110万円の手間請けの業者が
課税事業者を選択すると
消費税額は原則的な計算で40万円、簡易課税で20万円の納税となる
課税事業者になると記帳や申告の事務負担も増える
免税事業者から課税事業者になると消費税納税が発生し、加えて事務負担も増える
②免税事業者が消費税を付加した請求書を発行すると、「仕入れ控除できないから」との理由
でその分値引きされる恐れがある
③適格請求書発行事業者以外の者が「適格請求書」と誤認されるおそれのある表示をした書類
の交付をした場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される
3、自由な商取引ができなくなる
「あいさつまわりに使う名刺に消費税の課税登録番号を表示していないと、まともにあいさつ
もできなくなる」ことも想定され取引相手が「課税か免税か」で色分けされ、自由であるべき
商取引ができなくなるおぞれがある
(5)すべての事業者がインボイス対応をせまられます いくつかの事例を想定、検討すると・・・・
●建設業の一人親方
選択肢は4つ
①課税事業者になって消費税を納める
②免税事業者のままでいて、消費税分を値引きして今まで通り仕事を続けさせてもらう
③免税事業者のままでいる。親会社は取引を中止するかもしれない
④廃業するか給与所得者として転職する
●年商1億1千万円の建設会社
下請け業者が免税事業者のままでいた場合の消費税納税額
例 課税仕入れ2200万円 免税事業者の下請けへの支払い5500万円の場合
インボイス導入前は300万円 導入後3年間は400万円 導入後4年~6年目は550万円
7年目から800万円
●飲食店(免税業者)
接待で利用するお客さんに番号のついた領収書(インボイス=適格請求書等)を求められた
インボイスを発行できないと今後利用してもらえない恐れが強い
接待のお客さんはそれほどないので、すこし売り上げが減っても我慢するか、課税事業者と
なって売り上げを維持し消費税を納税するか
●フリーランス(免税業者)
ライターやカメラマン、デザイナー、プログラマー、宅配業者など。
取引先の会社からインボイスを求められる
課税事業者にならないと仕事がなくなる
●駐車場経営者(免税業者)
会社に貸しているがインボイスを求められた
会社や事務所への貸付は年間数十万円なのに課税事業者になって消費税を納めなければ
ならないのか
●個人タクシー(免税業者)
社用で利用するお客さんも多いので、課税事業者を選択し納税するか
簡易課税を選んでも売上300万円(税抜き)で消費税納税額は15万円
●シルバー人材センターの会員(免税業者)
センターは免税事業者である会員へ支払った配当金に含まれる消費税を控除できず多額の
消費税を納税することに・・・
年間数十万円の収入しかない会員も課税事業者にならないといけないのか?
●和菓子店(免税業者)
個人のお客さんが大半の場合は免税業者のままとする
大口の取引がある場合は取引を止められるおそれがあるので課税事業者を選択するか
(6)インボイス制度の影響を受ける主な職業(年収1000万円以下)
一人親方、配送業者、不動産貸付業(居住用除く)、個人タクシー、俳優、カメラマン、編集者、
声優、芸人、作家、漫画家、翻訳家、ライター、デザイナー、イラストレイター、WEBデザイナー、
音楽家、インストラクター、トレナー、コンサルタント、配送業者、シルバー人材センターで働く高齢者、
職人。日雇い労働者、飲食業、商店、ヤクルトレデイ、フリマサイトや通販サイト出品者、内職など等
(7)登録申請のスケジュール
①2021年(令和3年)10月1日⇒申請の受付開始
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②2023年(令和5年)3月31日⇒原則申請期限
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③2023年(令和5年)9月30日⇒困難な事情有者の申請期限
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④2023年(令和5年)10月1日⇒インボイス制度開始
(8)インボイス導入の狙い
①インボイスとは「売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額を伝えるもの」(国税庁、
消費税の仕組み)で、より正確な消費税額の計算を可能になります
②そのことにより免税事業者制度を実質的になくし、簡易課税制度を縮小ないし廃止して「消
費税の適正化」を行い、消費税の増収を図ることができます
③また、将来の消費税率引き上げをしやすい環境をつくることにあります
(9)インボイス制度の実施を中止させよう
1,インボイス制度の導入は事業者免税点制度の実質廃止であり、将来の簡易課税の縮小廃止、
消費税増税の布石でもあります
消費税は負担能力を無視し、赤字企業にも課税され、加えて簡素な税金ではなく、事務作業
がより煩雑となり経営を圧迫する悪税です
消費税を5%に減税すれば政府の建前ではインボイスが不要になります
日本商工会議所や日本税理士連合会、日本青色申告会総連合、全国建設労働組合総連合、全
国中小企業団体中央会、中小企業家同友会なども懸念や導入時期の延期などを表明しています
全国の事業者、ご家族、地域の皆さんと力をあわせ「インボイス制度の実施中止」と消費税の
5%への減税を実現させましょう
2,インボイス実施中止を求める請願書名、ツイッターデモ、SNSでの発信、参議院選挙でインボ
イス反対の候補者への投票などできることからの行動が求められています
2022年4月24日
税理士 堀口悦夫