2023年 04月 04日
最新インボイス制度情報(激変緩和措置含む)
適格請求書保存方式(インボイス方式)ver3
2023年4月3日
堀口税理士事務所
Ⅰ)、概要
1,適格請求書保存方式(インボイス)とは
*買手が仕入れ税額控除を受けるためには、売り手から交付を受けた登録番号などが記載された「適格請求書」の保存が必要になる制度
2,開始時期
*令和5年10月1日より開始
3,適格請求書とは
*登録番号のほか一定の事項が記載された請求書や納品書その他これに類するもの
をいいます。
*様式は定められておらず必要な事項が記載されていればよく、手書きや電磁的記
録でも可。
4,適格請求書発行事業者登録申請期限
*令和5年10月1日から登録業者になるためには令和5年9月30日までに所轄
税務署長に登録申請を行う必要があります
Ⅱ)インボイス登録に当たっての確認項目
(Ⅰ)現在免税事業者の場合の準備作業(法人・個人問わず)
登録した場合のメリット、デメリットについて検討
1,登録を受けた場合
<メリット>
①適格請求書を発行できる→売り上げ先が課税仕入れできる
<デメリット>
①課税業者となり消費税の納税義務が発生する。
②煩雑な事務が発生する(確認、保管、修正等)
③売り上げが一千万円以下になっても課税事業者として申告が必要になる
2,登録を受けない場合
<メリット>
①今まで通り消費税の納税義務はない
②煩雑な事務を回避できる(確認、保管、修正等)
③経過措置として登録しなくても相手先(仕入れ先)においてインボイス制度
発足後3年間80%を、その後の3年間は50%を仕入税額控除できる
<デメリット>
①適格請求書を発行できない→取引から排除されるリスクがある
3,簡易課税の選択
①課税事業者を選択し、基準年度の課税売上が5000万円以下であれば簡易課
税を選択する方法もある。この場合、インボイスの保存は売上関係だけでよ
い。
4,期限→適格請求書方式開始時(令和5年10月1日)から登録する場合
①原則 令和5年9月30日までに税務署長に登録申請
5、特例措置
1)2割特例
*対象者→免税事業者から課税事業者になった事業者で基準年度の課税売上が
1000万円以下の事業者
*内容→売上税額の20%を納税額とすることができる
*期限→令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間
2)少額取引(1万円未満の課税仕入)のインボイス保存不要
*対象者→基準期間の課税売上が1億円以下又は1年前の上半期の課税売上が
5000万円以下の事業者
*内容→インボイスの保存がなくても仕入控除が可能
*期限→令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間
3)1万円未満の値引き・返品は返還インボイスの交付は不要
*期限→無期限
(2)現在課税事業者の場合準備作業
<売り手としての準備>
1,適格請求書(インボイス)の記載要件を満たす書式の作成
①何をインボイスにするかを決め、取引先へ登録番号とともに通知
②不特定多数を売り上げ先としている場合は適格簡易請求書でよい
2,インボイスの取引先へ交付方法
3,インボイスの写しの保存方法(7年間)
4、インボイスの交付義務のない取引の確認
5,インボイスを間違えた場合の対処方法の確認(一度発行したインボイスの修正
は認められない)
<買い手としての準備>
1,自社の仕入れ経費について適格請求書が必要な取引か否かの検討
①一時的取引でも適格請求書は必要
②3万円未満の公共交通機関、自動販売機など、インボイスの保存が不要な取引
もある(帳簿の記載方法の確認)
③1万円未満の値引き・返品は返還インボイスの交付は不要
2、取引先が登録を受けているか否かの確認→国税庁HPで
3,受け取ったインボイスの保存方法
4,インボイスの保存が不要な取引の確認と帳簿への記載方法の確認
<申請期限>
1、申請期限は免税事業者と同じだが、課税事業者の登録申請は混雑を避ける意味
で早めに。
Ⅲ)登録申請手続き
(1)概要
1,登録を受ける(適格請求書発行事業者になる)には
①所轄税務署長に対し「適格請求書発行事業者」の登録申請手続きが必要
②課税事業者のみが登録を受けることができます。登録を受けなければ「適格請求
書」を発行することはできません
③通知される登録番号の構成は次の通りです
*法人番号を有する課税事業者はT+法人番号
*個人事業者などはT+13桁の数字
④公表事項は国税庁適格請求書発行事業者公表サイトで確認することができます
2,登録申請のスケジュール
①インボイス制度開始時(令和5年10月1日)から登録を受けるためには令和5
年9月30日までに申請する必要があります
3,適格請求書発行事業者になると
①基準期間の課税売上高が1000万円以下となっても、登録の効力が失われない限
り、課税事業者のままです
②適格請求書の記載事項に登録番号が含まれますので請求書等の様式の改定、取引
先への登録番号の通知など準備が必要です
③その他一定の手続きが必要な場合があります
(2)免税事業者の登録申請手続き等
1,免税事業者の登録申請手続き
①令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に
登録を受ける場合、登録を受けた日から課税事業者になることが可能です(経
過措置)
2,登録を受けるためには登録申請を行います
この場合「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です
3、登録申請期限は課税事業者と同じです
4,登録に当たっての留意点
①「適格請求書発行事業者」になると基準期間の売上高が1000万円以下となっ
ても、登録の効力が失われない限り消費税の申告が必要となります
②取引先から求められた時には「適格請求書」を発行しなければなりません(交
付義務)
③1の登録の経過措置を受ける場合、登録を受けた日から2年を経過する日の属
する課税期間の末日までは、免税事業者となることはできません。(2年間の
縛り)(登録を受けた日が令和5年10月1日の属する課税期間である場合を
除く)
5,簡易課税を選択する場合の届出書の効力
①免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、その課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した届出書をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用することができます
②課税期間の末日が土日祝日の場合でも提出期限は延長されません。
Ⅳ)適格請求書の記載事項・記載の留意点
1,適格請求書の記載事項→記載例1
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率毎に区分して合計した対価の額(税抜き・税込み)及び適用税率
⑤税率毎に区分した消費税額
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
2,適格簡易請求書→記載例2
不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食業、タクシー業などに係る取
引については「適格簡易請求書」でも可です
①発行者の氏名・名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率毎に区分して合計した対価の額(税抜き・税込み)
⑤税率毎に区分した消費税額又は適用税率
Ⅴ)売手の義務
1,適格請求書発行事業者の義務
①インボイス発行事業者の登録申請
②取引先へ「登録番号」、適格請求書の交付方法の連絡
返品、値引き等、売上に係る対価の返還等を行う場合「適格返還請求書」の交付
義務ただし、1万円未満の返品・値引きなどは交付不要
③適格請求書の写しの保存(7年間)
2,交付義務の免除
以下の取引は「適格請求書」の交付義務が免除されます
①3万円未満の公共交通機関である鉄道、バス、船舶による旅客の運送
②3万円未満の自動販売機・自動サービス機により行われる課税資産の譲渡
③郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
④生産者が農協、漁協、森林組合などに委託して行う農林水産物の譲渡
⑤出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品の譲渡
⑥1万円未満の返品・値引きの場合
Ⅵ)買手の留意点
1,仕入れ税額控除の要件
①「適格請求書等」の7年間保存が仕入れ税額控除の要件となります
②仕入先・支払先の登録番号の確認が必要になります。→国税庁HPで確認
③基準期間の売上5000万円以下の中小業者は簡易課税制度の選択の検討
事務負担・納付税額の比較検討
④免税業者など適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れは原則として
仕入税額控除の適用を受けることはできません
*ただし経過措置が設けられています(後述)
2,保存が必要となる請求書の範囲
①売手が交付する「適格請求書」又は「適格簡易請求書」等
3,帳簿のみで仕入れ税額控除が認められる場合(その旨を帳簿に記載が要件)
①「適格請求書」の交付が免除される3万円未満の公共交通機関の運賃、自動販売
機など、自動サービス機による課税資産の譲渡、郵便切手を対価とする郵便サー
ビス
②「適格請求書」の記載事項を満たす入場券などが、使用の際に回収される取引
③古物営業、質屋、宅建取引業を営む事業者が「適格請求書発行事業者」でない者
から古物、質物、建物を棚卸資産として取得する取引
④「適格請求書発行事業者」でない者から再生資源又は再生部品を棚卸資産として
取得する取引
⑤従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当に等
に係る課税仕入れ
⑥1万円未満の課税仕入れ
但し令和5年10月1日から6年間限り
4,その他、現行との相違点
①「3万円未満の課税仕入れ」及び「請求書等の交付を受けなかったことにつきや
むを得ない理由があるとき」は記載をした帳簿の保存のみで仕入税額控除が認め
られましたが、インボイスの開始後はこれらの規定は廃止されます
②現行では仕入れ先から交付された請求書等に誤りがあった場合、交付を受けた事業者が追記をすることができるが、適格者請求書保存方式の開始後はこのような追記は一切できません
5,簡易課税を選択している場合
*課税売上高から納付する消費税額を計算することから、「適格請求書」等の保存
は仕入税額控除の要件とはなりません
6,免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置
*適格請求書保存方式の開始後は免税事業者等からの課税仕入れは原則として仕入
税額控除の適用を受けることはできません
*ただし制度開始後6年間は、免税事業者からの課税仕入れについても一定割合を
仕入れ税額として控除できる経過措置が設けられています
*経過措置(期間・控除率・要件)
①インボイス開始直後3年間(令和5年10月1日~令和8年9月30日)
免税事業者からの課税仕入につき80%仕入れ税額控除可能です
②インボイス開始後4年目から3年間(令和8年10月1日~令和11年9月30
日)免税事業者からの課税仕入につき50%仕入れ税額控除可能です
③要件(請求書等の保存・その旨記載した帳簿の保存)
免税事業者からの区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存
経過措置の適用を受ける旨(80%控除、50%控除)を記載した帳簿の保存
以上

